個人邸宅

個人邸宅

人文・文化学の名匠で建築家のTomaso Buzzi(1900年ソンドリオ生まれ、1981年ラパッロにて没)が建てたこの屋敷は、ジェノヴァ郊外の風光明媚な「パラディーゾ湾」に面して佇んでいます。プロジェクト担当者と注文主は、この建物に本来備わった上下・水平方向の透明感を強調しつつ、見る人や住む人のアイディアを意図的に明確な方向へ導きながら、リグーリア地方の海岸特有の雰囲気と、この屋敷がある環境ならではの可能性を活用したいという明確な意図のもとに修復を企画しました。インテリアに使われているスチールとガラスの要素は、最大の透明性を限界まで追及して夢のように思い描き、設計し、実現されたものです。しかも今の時代に避けて通ることのできない先鋭テクノロジーのニーズもなおざりにされてはいません。階段と床は全てナチュラルな黒い金属板で仕上げられており、その独特の色彩効果がセメントと白い壁との間に強烈なコントラストを生み出しています。彫刻作品のような階段には、一段ごとにLED照明が嵌め込まれていて、素材のつやと色の濃淡の変化がいっそう引き立っています。壁に張られた大きな金属板のパネルが階段と一体化して、宙に浮いたような軽さを強調します。

建築家 Studio Sirotti Architettura e Design
場所 ジェノヴァ(イタリア)
2012
写真提供 Matteo Lomonaco